失われた黒の魅力と全てを内包するEDH

ようやく気付いた。

僕は青系のコンボデッキが好きだが、黒の濃いデッキも好きである。

しかしパイオニアEDHの黒単ではどうしても違和感しか無かった。

何か違う。

その違和感の正体に。

黒のイメージ

MTGというゲームにいつ出会ったのかによって黒のイメージは違うと思う。

もっと具体的に言えば《暗黒の儀式》に触れたことがあるのか?が大きな差になる。

僕のなじみ深いイラストはこれ

各人が持つ黒のイメージは、《暗黒の儀式》によって二分されると言っても過言では無い。

・ライフを犠牲に大量ドローや巨大生物を扱う。

・手札やクリーチャーを破壊する。

そして

・《暗黒の儀式》を使って早いターンから滅茶苦茶する

これが僕の思う黒の特性である。

相手が1/1クリーチャーを出した返しに、5/5トランプルを出す。

本来は3-4マナ必要なコンボを1ターン目に決める。

相手との不釣り合いな展開は、《暗黒の儀式》と繋がるカードをセットで持ってなければならないので頻繁に起きる事では無い。

しかし確実では無いからこそ、むしろ魅了される。

手札が揃わず死んだ…

火力で死んだ…

本命を打ち消されて全て失った…

それもまた、黒の持つハイリスク・ハイリターンの側面である。

《暗黒の儀式》は黒マナのみ供給するために、それを生かそうとすると自動的に黒の濃いデッキが誕生する。

僕は黒の濃いデッキが好きなわけでは無かった。

《暗黒の儀式》を絡めた展開が好きで、結果的に黒が濃くなっていただけだったのだ。

近年の黒

近頃の黒の役割には瞬間的なマナ加速は含まれない。

即効性よりもミッドレンジや遅くてじっくり戦う戦略が黒の特性とされる。

確かに過去の黒にも遅いデッキもあった。

《死体のダンス》をバイバックし続けたり、《ファイレクシアの闘技場》でじっくりとアドバンテージを稼ぐ黒コントロール。

やり過ぎない良調整のカードのために再録も多い

《精神ヘドロ》で相手の手札を全て落とし、《陰謀団の貴重品室》で大量のマナを生み出し、《堕落》で相手の命を吸い尽くすデッキもあった。

確かに、これも昔から続く黒の一つの側面である。

しかし近年のクリーチャー戦を重視する流れから、瞬間的な加速や高速コンボは消滅してしまった。

《暗黒の儀式》世代にとっては、ゆっくりとした黒だけでは物足りない。

かつて存在した強烈なデメリット能力と引き換えに飛び切りのポテンシャルを秘めたカードもいない。

《ファイレクシアの抹殺者》ほどの魅力的なクリーチャーはいただろうか?

《にやにや笑いの悪魔》《悲しみを飲み込むもの》など、デメリットに引き換えカードパワーが低いカスレアを量産してきた結果、何となく他の色と同じようなパワフルなクリーチャー(デメリット無し)とか、些細なデメリットがついただけになっている。

トランプルくらい付けてくれよ

《ドロスの魔神》を見て欲しい。

『敗北する』と一見してインパクトのある一文が書いてあるが、4ターンの間デメリット無しで強烈なサイズと能力を得られる。

黒使いは思う。これは本当にハイリスクなのか?

優等生を使用して悦に浸りたいのでは無い。

《肉裂き怪物》で味わう生きるか死ぬかのゲームを求めていたのでは無いか?

いつの間にか再録されていた。今では信じられないが、2マナ4/4では奇跡のサイズだった

EDHの黒

《暗黒の儀式》からの理不尽な展開は、しばしばゲームバランスを破壊する。

そのためフォーマットによっては禁止されたり、そもそもカードプールに存在しない。

EDHではどうだろう?

《暗黒の儀式》は暴れ回っているのか?

実はそうでも無い。

確かに《暗黒の儀式》は強カードである。

しかし支配的になれないことには主に二つの理由がある。

類似カードが少ない

ハイランダーでは《暗黒の儀式》1枚が99枚デッキに収まるだけである。

《陰謀団の儀式》は大分パワーが落ちるし、《弱者選別》は汎用性に劣る。

それ以上の黒の一時的な加速は更に弱く、あまり使われない。

例えば《Sacrifice》《Burnt Offering》は予め高コストの生物を用意しないといけないため、初速アップには向かない。

60枚デッキに4枚と比べると、類似カードで誤魔化しても99枚デッキに3枚では枚数が足りない。

アーティファクトの加速が強い

《太陽の指輪》《魔力の櫃》《金属モックス》などのアーティファクトの加速手段は豊富で、これらは黒特有ではない。

黒くない加速の方が多く、どんなデッキも潜在的に相手より飛び抜けた展開をするチャンスがある。

黒の優位性が少ない。

むしろ黒単で組んでしまうとサーチカードの制限や他のチューターの兼ね合いも合わさり、少し遅くなってしまう。

しかし、それでも《暗黒の儀式》から《納墓》《再活性》や1ターン目に《ネクロポーテンス》は健在であり、アーティファクトには真似できない芸当。

再現性は低いが、時折成立してゲームを支配する。

最近では《ネクロドミナンス》も加わって、“古の黒らしい動き”に磨きがかかった。

《むかつき》を素早く唱えてライフが無くなって自滅したり、《ヨーグモスの息子、ケリク》を置いてライフが無くなって詰んだり。

即効性と引き換えに大きなデメリットもある。

EDHは太古の黒いデッキやレガシーほど《暗黒の儀式》を使い倒すわけではないが、《暗黒の儀式》に魅せられたプレイヤーの披露宴が確かに存在する。

そして、これらはパイオニアEDHには存在しないプレイ体験である。

まとめ

《暗黒の儀式》からリスクの高いパワーカードを使う、これは黒の大きな魅力だと思う。

EDHでは発生頻度は低いが現在も再現可能ではある。

黒に限らず多くのプレイヤーの“あの時”を一部でも再現可能な点が、EDHの人気の一つでもあるんだと思う。

EDHの懐の大きさに驚く。

僕の主戦場のパイオニアEDHでは出来なくて残念なんだけどね…

ではまた。

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