個別株をあまり買ってこなかったので、実は株主総会には初参加である。
2025年6月27日に京都のみやこめっせで行われた、任天堂の第85期定時株主総会に参加したので、そのレポートを色んな角度から書きたいと思う。
準備編
株主総会に参加する条件
任天堂の場合、100株以上の保有が条件。
まとまったお金が必要になるが、2022年10月に株式分割されて、普通株式1株を10株に分割されたため、言ってみれば昔の10分の1の値段で100株の条件をクリアできる。
ちなみに株主総会の時価で100株を買おうとすると約135万円である。
一般に株式分割は株価を下げることで流動性を上げる、個人投資家の増加を促す、議決権を分散させるなどの意図があるが、本業投資家ではない自分にはピンと来てなかった。
これについては参加して大いに理解を深めたと思うので後述する。
日程が告知されないモヤモヤ
例年6月の末に行われているが、詳細な通知は6月初旬に行われる。
もちろん平日の昼間に行われるために、勤め人は仕事の調整をしなければならない。
今年は本気で参加するつもりで、6月末の大半の予定を開けて、いつでもウェルカムな状態で臨んだ。
株主総会の日取りが決まり次第、浮いている予定を入れていこうと思っていたが、6月初旬に通知されることを分かっていても、焦りやモヤモヤした気分はあった。仕事によるんだろうが、僕はこれを毎年やるのはキツいとも思った。
服装
さてさて、これも困った話である。
6月の猛暑の京都にスーツネクタイで行くのは拷問に近い。それにスピーカーではないのでフォーマルすぎてもおかしい。
とはいえ畏まった会。質問もするつもりだしラフすぎるのも良くない。
そこで普段、学術集会で参加する時くらいのジャケパンスタイルで行くことに。
ジャケット:チャコール
シャツ:ライトグレー
パンツ:黒の綿パン
靴:黒ローファー(ソールは白)
かばん:黒のレザートート
これくらいならダークスーツに身を包んだガチ投資家に囲まれても何とか浮かずに済むし、思ったよりもカジュアルな格好の人が多くても固すぎないだろうと。
当日編
来場
朝早く出て、開始の40分前くらいに『みやこめっせ』に到着。
地下の駐車場はガラガラだった(帰る時にも全然埋まってなかったので、車で来る人は少ないのだろう)。
地下の駐車場のエレベーターの近くにも株主総会の案内人が立っており、1階に上がると多数の案内人とともに人の流れがある。
おや、これがもしかして?
しかし同時に色々と察することも多かった。
スーツ姿はおろか、ジャケットやフォーマルなシャツを着ている人がほとんどいない。
Tシャツ、綿パン、スニーカー。そこら辺の観光のついでに立ち寄った人達に見える。
下手したら半パンにサンダルすらいる。
おそらくジャケットスタイルは100人に1人レベルで稀少。
個人投資家というより、ゲームのファンというに相応しい風貌(柔らかい表現)。
年齢層は40-60代かそれ以上が多いが、30代風の人も稀にいる。20代らしい人は、少なくとも僕は直接観測をしなかった。
座席は自由。
なるべく前の方に座った方が良いかと思ったが、真ん中の前の方は既に埋まっている。
左端の前の方の席に座ることにした(後に大きな敗因と気付くことになる)。
30分前の時点で結構な人数がいたが、最終的には1000人とか2000人くらい入ったのではないのだろうか。
株主総会
古川社長の挨拶のあと第85期事業経過を説明された。
基本的にはSwitchのゲームの売り上げが好調だったという話。
前期と比べてハード、ソフト共に売上高は減少傾向だったが、前期はスーパーマリオワンダーやゼルダ(ティアキン)が大きく売上を伸ばしていた影響が大きかった。
今期はマリオパーティジャンボリーやゼルダの伝説(夢を見る島)など売上を伸ばしたソフトがあったが、ハードを牽引する程でもなかった。
対処すべき課題として、持続的に活性化させるために任天堂IPに触れる人口の増加を狙う。
映像コンテンツ、テーマパークなどの展開からIPに触れる機会の増加を狙い、任天堂とユーザーが長く良好な関係を築くことを目標にする。
こんなような話の後、決議事項を確認して質疑応答へ。
準備していた質問をぶつけようと、力いっぱい挙手。
手を挙げて発言なんて小学生以来じゃないか。
しかし当てられず。まあ、そんなもんでしょう。
Switch2買えなくて不満!みたいな、明らかに場違いな質問をする人はいなかったが、質問は1つまでと言われている中で2つ3つ詰め込む人、要領を得ない質問をする人など色々と見受けた。
古川社長はゼルダやマリオなど自社のゲーム内容に関する質問については基本的には資料を確認せずにスムーズに答えていく。
古川社長の目の前に2つのモニターが置かれているが、これらはほとんど目にしない。ただ話ながら右手側をチラチラ見ているのが最初は気になった。
しかし途中で思ったのは、質問を右手でメモしている素振りがあって、それを確認しながら答えているのだろう。
Switch2のキーカードの仕様の説明や敷地の利用計画など細かい話は、古川社長の左手側のモニターを見ながら話していた。
これは想定外の質問で、裏で誰かが操作していたのだろうと邪推した。
結局、僕は当てられることはなかったのだが、当てられる人は古川社長のやや左前方(つまり僕らは向かって右側)が多かった。
たまたまかもしれないが来年以降参加する人は30分前では遅いのでもっと早くから並んで、良い席を確保した方が良い。
真ん中、少しだけ向かって右側。
最前列でなくても、前の方のブロックなら良い。
僕は向かって左側の方に座っていたが、そもそもこちら側に顔を向けてもらう機会が少なかった。
最後に議決内容を確認し、アメリカでのSwitch2の発売イベントなどの映像を流して終わり。
お土産は特になし、入場時のペットボトルのお茶のみ。
感想編
的外れな質問はなかったのだが、投資家目線ではなく、ファン目線の質問が多かった。
株式分割の意味を身をもって知ることになった。
高嶺の花だった株が手の届く価格になり、ファンが購入する。彼らは自己の利益より応援の気持ちが勝る。
収益優先の投資家が希釈されることで、売上や経営、配当といった金銭絡みの厳しい指摘が相対的に出なくなり、終始和やかな雰囲気で終わる。
当たり障りのない質問に、ネットで公開されている程度の無難な回答が返される。
議論の場ではなく、コアなファン向けのお祭りイベント感が強かった。
もちろん、それが悪いわけではない。だって任天堂の株価は好調だから。
ただ僕自身は任天堂ファンでもある(2024年はSwitchを800時間以上プレイしている)が、やはり個人投資家として収益には敏感にならざるを得ない。大して儲からないならインデックスに突っ込んだ方が良いので。
正直なところ、この内容なら来年以降は現地参加は控えようかなと思った。
仕事の調整も大変だし、売るか買うかの判断材料になりにくい。
それにファンが支えているうちは大丈夫とも言えるし。
まとめ
任天堂の株主総会はTシャツスニーカーでも浮くことはないし、任天堂が大好きで株式を買ってでも応援したい!というコアなファンには良いイベントだと思う。
お堅い会合ではないので、気楽に参加できる。
取締役の人達も、その点を弁えた演出や回答を用意してくれているから。
ではまた。
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