EDHの黒赤は高速コンボが可能で、上振れで2KILLを狙える。
《コルヴォルド》も黒赤の早いコンボデッキの一つであり、今回はその解説。

デッキリスト
土地 29枚
《Badland》
《Bayou》
《Taiga》
《血の墓所》
《草むした墓》
《汚染された三角州》
《血染めのぬかるみ》
《新緑の地下墓地》
《湿地の干潟》
《樹木茂る山麓》
《乾燥台地》
《沸騰する小湖》
《吹きさらしの荒野》
《霧深い雨林》
《ラノワールの荒原》
《硫黄泉》
《下生えの競技場》
《特別観覧室》
《育成泥炭地》
《統率の塔》
《真鍮の都》
《マナの合流点》
《色あせた城塞》
《風変わりな果樹園》
《宝石の洞窟》
《古の墳墓》
《耐え抜くもの、母聖樹》
《出現領域》
クリーチャー
《死儀礼のシャーマン》
《スカークの探鉱者》
《衝動的なこそ泥》
《よろめく怪異》
《敏捷なこそ泥、ラガバン》
《ほくちの壁》
《波止場の恐喝者》
《オークの弓使い》
《帝国の徴募兵》
《猿人の指導霊》
《エルフの指導霊》
《無情な屍技術師》
《血の取引者、ヴィリス》
《溜め込む親玉》
クリーチャー以外の呪文
《イコリアへの侵攻》
《伝国の玉璽》
《ギャンブル》
《再活性》
《発掘》
《炎の儀式》
《一攫千金》
《悪魔の意図》
《悪魔の教示者》
《破滅の終焉》
《不気味な教示者》
《生+死》
《法務官の掌握》
《Wheel of Fortune》
《最後の別れ》
《深淵への覗き込み》
《殺戮の契約》
《吸血の教示者》
《俗世の教示者》
《暗黒の儀式》
《弱者選別》
《有毒の蘇生》
《納墓》
《赤霊破》
《紅蓮破》
《夏の帳》
《Sacrifice》
《Burnt Offering》
《陰謀団の儀式》
《霊廟の秘密》
《最後の賭け》
《ティボルトの計略》
《死体のダンス》
《偏向はたき》
《Saw in Half》
《四肢切断》
《殺し》
《金属モックス》
《ライオンの瞳のダイアモンド》
《水蓮の花びら》
《魔力の墓所》
《モックス・ダイアモンド》
《オパールのモックス》
《魔力の櫃》
《太陽の指輪》
《秘儀の印鑑》
《バックナードの裕福な財布》
《厳かなモノリス》
《耽溺のタリスマン》
《尊き彫像》
《願い爪のタリスマン》
《霊気貯蔵器》
《動く死体》
《Dance of the Dead》
《死の国からの脱出》
《食肉鉤虐殺事件》

※moxfieldは随時更新中のため上記リストとは異なる可能性あり
以前デッキのnoteの記事↓。

思考の過程まで細かく書いた大会レポなので、使ったこと無い人は読むと使用感が分かると思う。
強い所と弱い所
《波止場の恐喝者》1枚で勝てる点が強い。

《コルヴォルド》存在下では、宝物トークンはマナを生み出しつつ1ドローする。
例えば宝物を6個生み出し、《コルヴォルド》を唱える。
ETBで《波止場の恐喝者》を生け贄に捧げ、《再活性》で《波止場の恐喝者》を釣る。
改めて宝物が6個出るので、6マナ生み出す&6枚ドロー。
《殺し》や《弱者選別》などで《波止場の恐喝者》を墓地に送り、リアニメイトや《有毒の蘇生》《破滅の終焉》などで戦場に出すことを繰り返し、デッキを掘り進め勝利手段を集める。
宝物は6個も出せなくても、《波止場の恐喝者》《コルヴォルド》と出た時にリアニメイト分のマナがあれば良いので、《暗黒の儀式》など儀式系カードで補うことも可能。
4個くらいなら決まるチャンスがあると思う(4個では止まる可能性も高いが)。
2マナのカード1枚で勝つ可能性があるのは他には無い利点である。
一方でこのデッキの最大の弱点は統率者が弱いこと。
《コルヴォルド》はカードを引ける効果で強いと思う人もいるかもしれないが、単品ではかなり弱い。
リソースを削りながら出てくるので、コンボパーツが足りないとか、コンボはあるけど《赤霊破》《夏の帳》等バックアップが欲しい時に出しても《木登りカヴー》以下。

一時期、《コルヴォルド》を出しやすいように生け贄用の《燃え立つ空、軋賜》《ゴブリンの女看守》《風雲船長、ラネリー》《顔壊しのプロ》のような“繋ぎ”のカードを多数採用したこともあるが、そういう問題ではないんだよなあ。
仮に場に出たとして、フェッチランドで悠長にアドを稼ぐ余裕は無く、ETBにスタックで即座に除去されたり(カードも引けないので一番痛い)、《金粉のドレイク》されたり、コピーされて悪用されたり。
正直なところ、コンボじゃない時に出てきた《コルヴォルド》は《クラム》より弱いと思っているが、実際の強さよりもコンボのインパクトのために妨害を吸いやすく、これでは裏でアドを稼ぎ続ける青いデッキに勝てない。
再キャストのコストが重くなると《波止場の恐喝者》から決めにくくなるので適当に出さない方が良い。
余った儀式カードを《クラム》《テヴェシュ》のように統率者に使ってドローに変換することも出来ないし、チグハグな手札が回ってきた時に無理矢理ドローで誤魔化せない。
他のデッキにある「統率者を出せるからキープ」がこのデッキには無い。
絶対に使える統率者を展開に使わずエンドカードのみに使うことの是非はあるが、確実に言えるのは統率者がリソースを稼いでくれないので手数が少なく“薄いゲーム”が多い。
初動を弾かれた場合、仕掛けるタイミングを逃した場合は、ずーっと死んだフリをしながらドローゴーを繰り返して、隙を見て《波止場の恐喝者》+バックアップを放つことを待ち続ける。
これが《コルヴォルド》の限界で永遠の悩み。
サブプラン
《波止場の恐喝者》の宝物が足りない場合があるし、特にこのデッキを知る人は1ターン目のアーティファクトの展開を控えて《波止場》による2KILL確率を下げてくる。
3ターン目以降は青がいるとそのままコンボを叩きつけても通らない可能性が高く、上振れ時でも良いので2ターン目に決められるサブプランが欲しい。
《波止場》プランの都合上、釣ったり生け贄にしたりを繰り返したいので、《再活性》や《Burnt Offering》なども入れる。
となると、《納墓》を追加して《ヴィリス》《溜め込む親玉》を釣りたくなる。

《納墓》は《死の国からの脱出》と組み合わせても強いし、《溜め込む親玉》とコンボする《Saw in Half》は《波止場の恐喝者》とも相性が良くシナジーが多い。

《溜め込む親玉》は《Saw in Half》から《Burnt Offering》+《深淵への覗き込み》を使うのでリアニメイトした上で+2マナが無いと即殺できない。
手札にもう1枚釣り竿があれば、まず《Sacrifice》をサーチしてマナを増やして釣り直してコンボに入ることは可能なので、リアニメイトを複数積むこともサポートになる。
ただし、いずれにせよ《Saw in Half》に対応して生物除去が効いてしまう。
《ヴィリス》の場合は最低限《納墓》《再活性》の2マナで8ドローできれば除去されても仕事を果たせるし、《Burnt Offering》や《Sacrifice》で生け贄にして《生+死》で釣り直したり、《有毒の蘇生》《死の国からの脱出》で《再活性》を使い回して8ドローを繰り返す動きは、《波止場》ループと共有パーツが多い。
ただしフルタップ《ヴィリス》から即殺の可能性は低い。
それぞれ善し悪しがあるが、じゃあ、どっちを使うの?となったところで、両方採用することにした。
当初は《むかつき》を入れていたのでコスト的に厳しいことになっていたが、《ログラクフ》無しでは2ターン目に《むかつき》を狙いにくい上に、《波止場の恐喝者》ループのパーツと共有できるものが無くて手札が噛み合わない。
チューターと《再活性》が手札にあったら《むかつき》よりも《納墓》持ってきたい。
《むかつき》はそんなものを押し切るくらいのリターンがあるとは言え、結局、一番決めるコンボは《波止場の恐喝者》なので、統率者を生かす形で出来るだけこの成功率を上げる方向にしたいと思い、《むかつき》を抜いてリアニメイトコンボを厚くした。
あと、《ヴィリス》が好き(一番大事)。
ただ実際のところサブプランについては善し悪しはあると思うので、決して《むかつき》がダメなわけではない。
最終的に勝つ方法
《霊気貯蔵器》もしくは大量マナからの《破滅の終焉》アタックや《法務官の掌握》で相手の勝ち手段を貰う。

《波止場の恐喝者》から十分な宝物が出るなら、《スカークの探鉱者》+《死体のダンス》or《無情な屍技術師》で無限マナを出すことが可能だし、ストームも無限に稼げる。
この場合、《食肉鈎虐殺事件》でも勝てる。
《コルヴォルド》は強制ドローなので、コンボが決まった時点で生け贄にするスペルで処理しておきたい。
《波止場の恐喝者》ループが決まらない場合は、サブプランの《溜め込む親玉》《ヴィリス》ともに《深淵への覗き込み》に繋ぐので、《死の国からの脱出》+《ライオンの瞳のダイアモンド》を挟んだりして《霊気貯蔵器》。
このカラーの勝ち手段はイマイチなものしかなくて、《二重詠唱の魔道士》《食物連鎖》《ウィザーブルームの初学者》などどれも一長一短。
2枚コンボを直接狙って揃えて決めたことは無く、基本的に《波止場の恐喝者》ループか《深淵への覗き込み》から締めに入るので、僕は枠が少なく墓地を使わない《霊気貯蔵器》を選んだが、好みの問題もあると思う。
初手のキープ基準から初動
《波止場の恐喝者》にアクセス可能、もしくは《納墓》+リアニメイトに繋がる手札ならキープ可能。
2ターン目までは相手に妨害をされにくく、一方で《波止場の恐喝者》はマストカウンターのため、4個くらい宝物が出るなら2ターン目に出してしまって良い。
宝物が無いと《コルヴォルド》を出すことすら困難だし。
場に出て宝物が足りないなら《コルヴォルド》で仕掛けるのは次のターン以降にする。
理想的には《コルヴォルド》を出す時にリアニメイトで《波止場の恐喝者》を即釣れるだけの宝物があると良いが、このデッキは統率者でリソース拡充が困難なので、結局は《波止場の恐喝者》経由で出せるときに出せば良い。
また、勿論2ターン目までに仕掛けられると良いが、理想を追い求めてマリガンしすぎすると何も出来なくなるので、3ターン目以降に仕掛けることも十分許容。
そうなってくると土地を並べて、《赤霊破》等バックアップが欲しいので、手札の枚数が重要で、やはりマリガンしすぎるとどうにもならなくなる。
計算上は、《波止場の恐喝者》とチューター12枚のうち、1枚以上引く確率は64%と高くない。
このチューターには初手で使えないかもしれない《悪魔の意図》《最後の別れ》も含んでいる。
《波止場の恐喝者》があればキープくらいの緩い基準で、ある程度妥協してトップにお願いすることも大事。
小技など
土地事故
このデッキは統率者が展開の補助にならないのでよく土地が止まるが、気にしなくて良い。
ゲームが長引いても仕掛ける時のマナは少なく、《赤霊破》《夏の帳》など追加するとしても知れている。
むしろ土地が止まることは好都合で(?)、事故って死んだフリをして隙を窺う。
例えば土地2枚と《出現領域》から、《炎の儀式》などマナ加速を挟んで《波止場の恐喝者》コンボに入るのは奇襲性が高くて、こちらのデッキを熟知している人以外には警戒されない。
《波止場の恐喝者》カウントが足りない場合
《願い爪のタリスマン》や《バックナードの裕福な財布》を相手に渡す。

高速コンボが失敗して死んだフリをしている時に、チューターであえて《願い爪のタリスマン》を挟むのは一つの手。
この場合、チューターで何か手札に加えつつ《願い爪のタリスマン》でもう1枚集めようとしている=コンボ+αが揃ったと認識されると良くないので、ライブラリーから直接《願い爪のタリスマン》を見せて場に出す。
誰を勝たせるか選ぼうかな~と寸劇も織り交ぜるとなお良い(大したメリット無し)。
《破滅の終焉》《イコリアへの侵攻》
《波止場の恐喝者》をサーチしたり墓地から釣るだけでなく、生け贄にしたい場合は《スカークの探鉱者》に繋ぐルートがある。
《Saw in Half》
《溜め込む親玉》のコンボカードだが、《波止場の恐喝者》を増やしても強い。
宝物4個で《コルヴォルド》が出ると、ほとんど宝物が残らず実質次のターンに仕掛けることになってしまう。
この場合《コルヴォルド》を出す前にチューター経由で《Saw in Half》を挟んで宝物を増やしておけば、宝物が残ってチェインしやすくなる。
《血の取引者、ヴィリス》

相手に《オークの弓使い》を出され本体にダメージを飛ばされ続けると相手依存でループするので負ける。
しかし、このデッキには《Sacrifice》などインスタントタイミングで《ヴィリス》を処理できるカードが複数あるので、マナさえ残っていれば《オークの弓使い》を構えられても強気に攻める。
《無情な屍技術師》

《波止場の恐喝者》を生け贄にして釣るカードだが、《コルヴォルド》も生け贄にする。
《波止場の恐喝者》ループが始まると《コルヴォルド》のパワーはすぐに10を超える。
《無情な屍技術師》は合計で宝物7個を使うと《コルヴォルド》を戦場に戻せるので、高パワーの《コルヴォルド》を生け贄にすると大量の宝物のお釣りが来る。
1-2ターン目の暇つぶし
実際のところ、いつでも2KILLを狙えるわけではない。
マナが足りないとか、このデッキ特有の悩みとしては《波止場》カウントが足りなくて仕掛けるのが3ターン目以降になることも多い。
この場合、1-2ターン目のマナをチューター以外に使い道がないと持て余してしまう。
次のターン以降のコンボに貢献する形でどうやって準備するかは大事な要素。
《ラガバン》や《秘儀の印鑑》で備えるのはどんなデッキでも行うことだが、このデッキ固有のものもある。
《よろめく怪異》《衝動的なこそ泥》は貴重な生け贄要因。宝物としてマナを持ち越せるのが嬉しい。
《バックナードの裕福な財布》《尊き彫像》は、他のデッキで言うところの印鑑やタリスマンに相当。

少しでも宝物を増やすことで《コルヴォルド》の完走率を上げたい。
軽くて宝物が出るものは候補になるので、《マグダ》や《ヤング・レッド・ドラゴン》なんかも有りと言えばあり。
《マグダ》は《溜め込む親玉》持ってこれるし。
今は採用していないが、《苦々しい再開》《メルカディアへの侵攻》など軽いルーターも考慮。

《ヴィリス》達を引いてしまったときに捨てるだけでなく、パーマネントとして残ると《コルヴォルド》に貢献する。
血トークンも有用で《血の泉》なら《波止場の恐喝者》を回収する手段になるし、《ヴォルダーレンの美食家》は不足しがちな生け贄要因になれるので同じく検討中。

不採用カードについて
《ネクロポーテンス》
入れても良いと思う。
色はキツいけどキープ基準になる。
現状はライフを使って決めるコンボは《ヴィリス》しかなく、《ヴィリス》の場合は2回釣る+チューター分で20点もライフがあれば十分だし、最悪12点くらいでも1回は釣って何らか動けるので、相手のビートダウンによるライフロスを気にしなくて良いのが強み。
一方で《ネクロポーテンス》は、決めるためにはもっとライフが必要。
最速コンボが決まらない場合、ノーガードで殴られ続けるので、心の余裕を持って受け入れるために《ネクロポーテンス》は抜いた。
《一つの指輪》
入れても良い(再)。
時間もリソースも稼げるしキープ基準にもなる。
どんなにカードを引いても相手のコンボを防げない点が気になり、青いデッキが使う強さとは異なる。
何となく入れない方が良い気がしてる。
《汚物の雨》

確かに《コルヴォルド》と相性が良い能力だが、チェイン中に欲しいのは《波止場の恐喝者》を出し入れするカード。
他の動きと噛み合わず、初動に使えないことが難点。
《波乱の悪魔》

迂闊に出すと的になるだけなので抜いた。
どんなに噛み合わない手札でも統率者で何とかすることが出来ないので、初動に貢献しないとかメインコンボに使わないカードを入れるほどに、初手が詰んで動けなくなる。
単品では除去としても機能しないので、普通に1枚で使える除去やリセットを入れた方が強いと思う。
《宝石の水蓮》
統率者の早出しは的になるだけ無駄行動と思うので抜くことに。
大人しくエンドして、相手の妨害を別の相手に使われることを待った方が良い。
《コルヴォルド》を出すのは基本は《波止場の恐喝者》を経由した時で、宝物が何個かあれば《コルヴォルド》のETBに対応して除去を使われても、更にスタックで宝物でドローして損失を減らせる。
《異界の進化》
《納墓》《再活性》を考えた時に黒マナからスタートしたいことと、後引きが弱いこと、《オークの弓使い》が痛いため緑のマナクリを削ったため、生け贄とシンボルの2つの問題から抜いた。
本当は、その辺りを充実させて採用したい。
《輪作》
《出現領域》を持ってこられるが、初手にあると弱い。
何度も書くことになるが、統率者によるリソース確保が困難なため、ゲームの中盤から後半にあったら良いな、という理由で色んなカードを突っ込むことは、このデッキでは困難。
《ティムナ》とは根本的に構築の考え方が異なる。
まとめと今後の展望
早いコンボデッキではあるが、《波止場の恐喝者》は相手依存な上に、統率者がリソース確保に貢献しない点からも序盤の動きは不安定なデッキ。
一方で長期戦思考は、統率者のヘイトが高すぎて場持ちが悪すぎるので厳しい。
定型の確殺ルートと違って、不確定なチェインコンボは毎回異なるゲーム体験が出来るし、繋がるか分からないからこそ、完走しきった時の面白さはある。
かつては0マナクリーチャーを入れて相当前のめりにして生け贄を確保していたが、安定を求めて《むかつき》と共にカットして少し生け贄不足を感じる。
序盤を支えつつチェインコンボや《ヴィリス》と噛み合う軽量のカードを、バランスを取りながらどれだけ確保できるかが今後の調整の課題かな。
ではまた。
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